大地と人の営みが織りなすパワースポット

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大分県の豊後大野市は「祖母・傾・大崩ユネスコエコパーク」とともに「おおいた豊後大野ジオパーク」として登録されているなど、大地のエネルギーを存分に感じられる地域です。過去に4回起こったとされる阿蘇火山の巨大噴火。3回目(12万年前)と4回目(9万年前)の噴火で発生した火砕流は豊後大野の地にも広がりました。冷えて固まった火砕流は、やがて時間をかけて特徴的な大地をつくり出し、同時に自然の恩恵を人々に与えていくこととなります。

肥沃な土地、豊かな水、そこに生息する動植物、そして人々の暮らし。自然と共存した暮らしは、大地に対する尊敬や畏怖の感情を生み、その土地ならではの信仰へと発展していく。神社や仏閣からは、その土地の人々の思想や文化、歴史といった時間の積み重ねを感じ取ることができます。

静寂で厳かでありつつ、大地のエネルギーを感じ取れる場所が豊後大野にはたくさんあります。そのどれもが豊後大野の特徴的な大地から生み出された「ここにしかない」景色を持つ。今回は数あるなかから2つのスポットをご紹介。日常を少し離れた神聖な空間で、自然のパワーを浴びてみてはいかがでしょう。

絶壁に彫られた日本最大級の磨崖仏|普光寺磨崖仏

「磨崖仏」をご存知でしょうか。
磨崖仏とは岩や崖に直接彫られた石仏の一種で日本各地に存在します。実は豊後大野は全国的にみても磨崖仏が多い地域。阿蘇の火砕流が冷えて固まった溶結凝灰岩(ようけつぎょうかいがん)の加工しやすい箇所に彫られたものが多くみられます。

そのなかの一つである普光寺磨崖仏。最も大きい「不動明王」は国東半島の熊野磨崖仏とともに日本最大級とされています。その大きさゆえに普光寺の本堂側から眺めても十分に迫力があります。

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豊後大野にある磨崖仏の多くは9万年前の阿蘇火山噴火の火砕流でできた溶結凝灰岩に彫られていますが、普光寺の磨崖仏は12万年前の噴火による溶結凝灰岩に彫られています。

普光寺の磨崖仏は今から約800年前の鎌倉時代につくられ、大分県の史跡に指定されています。不動明王は右手に剣、左手に捕縄を持ち、憤怒に満ちた顔で表現されるのが常ですが、普光寺のものは長年の風雨にさらされた結果、荒々しさが薄まり穏やかで優しい表情となっているのが特徴。それでも近くで口元をよく観察すると牙があるのが見てとれ、彫られた直後の迫力は凄まじいものだったことは想像に難くありません。訪れる者を敬虔な気持ちにさせたことは間違いないでしょう。

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不動明王を真下から見上げた写真。顔の表情がより詳しくわかる

奥の洞穴へ続く道の先には、仏龕(ぶつがん)や護摩堂があります。ここにも磨崖仏が彫られ、また祠(ほこら)や石仏が多く鎮座しています。

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護摩堂側から見た不動明王

【アクセス】
普光寺磨崖仏
住所:大分県豊後大野市朝地町上尾塚1225
駐車場あり

巨木が織りなす神聖な光景|健男霜凝日子麓社

大分県と宮崎県を結ぶ県道7号線。豊後大野市の南端、祖母傾山系の迫る道中、突然現れる健男霜凝日子麓社(たけおしもごおりひこふもとしゃ)。標高450mの山麓に位置するこのお社は、通称:健男社と呼ばれています。

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健男社は応永8年(1410年)に創建され、長さ251m・480段の石段を持つ参道の先に社殿があります。健男社の特徴は300〜400年の風雪に耐えた古木に囲まれた森の中にあること。約0.4haある健男社の森は大分県の天然記念物に指定されています。

ここを訪れてまず驚くのが参道を囲む杉の巨木たち。晴れた日中でも杉の巨木に日が遮られ、その薄暗さが静けさとも相まって社殿までの道のりに神聖さを与えています。参道を上がる途中途中で、巨木の隙間から日が差し込むのですが、その姿はなんとも神々しく思わず息を呑んでしまいます。

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長い参道を進んだ先にようやく姿が見える社殿

また、社殿の背後にはモミの巨木を優占種とする自然林があります。この自然林は、林業開発により消滅の危機に瀕しているモミ林の貴重な残存林として学術的にも非常に価値があります。

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健男社の社殿

社殿から参道側を見ると杉の巨木の隙間から祖母傾山系が顔を出しており、この地が自然に囲まれていて、山や森など自然のあらゆるものたちから自分は見られている気がしてきます。悪い行いはできないなと、自分を戒める気持ちが強くなるとともに、澄んだ空気のなか何百年と生き続けている杉やモミの巨木から自然のエネルギーをもらうことができます。


【アクセス】
健男霜凝日子麓社
住所:大分県豊後大野市緒方町上畑947番地1
駐車場あり