竹田、水を求める巡礼の旅

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人々の生活に欠かすことのできない水。水は生命の源であり、自然や動植物、人間を問わず公平にその恵みを与えてくれます。太古より水のある場所、河川の近くに人々は居を構え、畑を耕し、作物を育てていました。地層と同じように、そこにある人々の生活も長い時間をかけて堆積していき、現代へと文化や歴史が受け継がれています。

寒さが和らぎ、杉が赤く色づいた2月下旬。
祖母山の麓、その川の近くや畑では、野焼きを行う光景があちこちで見られました。春を感じさせる雰囲気のなかで、“竹田の水”を巡る旅を行いました。

大分県竹田市は祖母山や傾山、阿蘇山やくじゅう連山といった山々に囲まれていることもあり、市内の至るところで清らかな湧水の噴出する名水地として知られています。市内に点在する湧水は50ヶ所を超えており、数ヶ所における1日に湧き出る水の量は6万〜7万トンともいわれ、その全体の湧出量は計り知れません。

河宇田湧水、泉水湧水など竹田市入田地区を中心に点在する「竹田湧水群」は昭和60年(1985年)1月に環境省選定の「名水百選」に認定されています。

竹田の湧水は水質・水量に優れ、飲料水や農耕用の灌漑用水、淡水魚の養殖など幅広く用いられています。ミネラル分が豊富なこともあり、この湧水を使って栽培した入田地区の米は「名水米」として好評を得ているのだとか。

確かに、各湧水地では水源の近くに柄杓が置かれ、水汲み場が整備されている場所では地域住民や評判を聞きつけてやってきたであろう人々が次々と水を汲みに訪れていました。

竹田が名水地になった背景には、20数万年前よりたびたび起こった阿蘇火山の巨大噴火が関係しています。噴火で発生した火砕流は冷え固まり、積み重なっていき、竹田の大地を形成。阿蘇や祖母山をはじめ周辺の山々に降った雨や雪が地下水となり、地層の亀裂や溶岩層を流れるなかでろ過が行われ、ミネラル分を分解しながら水脈を辿って竹田の地へ湧き出していく。また、雨水が地下に浸透してから地上へ湧水として顔を出すその期間は数十年ともいわれており、水が辿る旅路にロマンさえ感じます。

そんな貴重な水資源を守るため、入田地区においては「名水会」「入田の川を守る会」などの地域団体が河川の清掃をはじめ環境保全活動を行なっています。良質な湧水を安心して飲み、使うことができるのも、地域の人々が守っているからこそ。ましてや、湧水として地上へ噴出するまでに数十年の時を経ていくのであれば、その数十年後に生きている人々のことを思い、今ある自然環境を守る、あるいはより良いものにしていくことが私たちには課せられているのかもしれません。

以下では、今回巡った竹田市の湧水地と水にまつわる名所を簡単にご紹介します。

矢原湧水

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緒方川沿いにある湧水地。プールのように岩に囲まれ、その岩間から水が湧き出ています。すぐ隣は緒方川が音を立てて流れており、透き通った水の中には川魚の泳ぐ姿が見えます。季節とともにさまざまな光景を目にすることのできる場所。

住所:大分県竹田市入田1387

河宇田湧水

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竹田湧水群のなかでも最も湧水量が多く、道路沿いに水汲み場があることから連日多くの水汲み客が訪れる場所。水源地は数百メートル上流の谷あいにあり、そこからパイプで送水されています。すぐ隣には水車があり風情を感じます。近くには中島公園河川プールがあり、夏になると多くの子どもたちで賑わう名所となっています。

住所:大分県竹田市大字入田
駐車場あり

泉水湧水

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河宇田湧水からほど近い湧水地。水神である諏訪様を祀っており、その水は軟水で飲みやすいとされています。岩場に生えた苔、流れる水に反射する日の光が綺麗で、水を汲むだけでなくずっとその光景を目にしていたい、そんな癒しのスポット。

住所:大分県竹田市大字入田
駐車場あり

長小野(鳴瀧)湧水

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地元の人々の生活を直に感じる湧水地。民家のあいだに佇む「鳴滝神社」と記された鳥居。その先の小道を進むと、表とは異なり静かで厳かな空気が漂います。その奥では岩肌の高い位置から細い滝のようにして水が湧き出しています。湧水そのものが御神体とされ、水が湧き出る先には祠もあります。

住所:大分県竹田市大字門田

長小野(塩井)湧水

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鳴瀧湧水から緒方川を上流へ2kmほど進んだ場所にある湧水地。専用の水汲み場は丸く柔らかい形をしているのが特徴。水源は水汲み場からおよそ3分ほど進んだ先にあり、岩間からちょろちょろと水が湧き出ています。主に農業用水として使われており、透明度の高さが魅力とされています。

住所:大分県竹田市大字門田1449

明正井路第一拱石橋(六連水路橋)

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塩井湧水の上流側、宮崎県高千穂町へと続く県道8号線にかかる六連石造のアーチ橋。長さ88.9m、高さ13m、幅は2.8mあり、六連水路橋としては日本最大の石積アーチ水路橋といわれています。明治〜大正にかけてつくられたものですが、現在も水を運ぶ井路として活用されており、竹田市を超えて豊後大野市緒方町・清川町の田畑を潤す重要な供給施設となっています。

住所:大分県竹田市大字門田
駐車場あり

白水溜池堰堤(はくすいためいけえんてい)

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「白水ダム」の通称で親しまれる灌漑用水の調整ダム。正式名称は「白水溜池堰堤水利施設一溝」。「日本一美しいダム」と称され、1999年5月には農業近代化遺産として国の重要文化財に指定されました。地盤に配慮し、流れ落ちる水をいなす独特の工法でつくられた結果、水の美しい情景を生み出すこととなりました。

※2018年~2025年の10月下旬から6月上旬まで溜池内土砂掘削作業が予定されており、その期間越流が停止になります。

住所:
右岸(ダムを上から見る場合):竹田市大字次倉3732-2、3732-5
左岸(ダムを下から見る場合):竹田市荻町大字鴫田6225-3、6225-4
駐車場あり

音無井路円形分水(音無井路十二号分水)

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灌漑用水として昭和9年に完成した分水施設。円形分水ができるまでは、三線の幹線水路に導入される水の分配を巡って住民が騒動を起こし、連日水争いが繰り返されていました。水を適正に分配するため円筒の外側に12ヶ所の小窓が設置されています。現在も地域住民による維持管理がなされ、毎年4月10日ごろ「水神祭」が行われています。

住所:大分県竹田市九重野4587-8
駐車場あり

白水の滝

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大野川の源流であり、国の登録記念物にもなっている白水(しらみず)の滝。岩間からは湧水が勢いよくほとばしり、滝の高さは38mにもなります。滝のある場所は暗く静かで、水の流れ落ちる音のみ。その迫力と神秘的な美しさに圧倒されます。

住所:大分県竹田市荻町陽目
駐車場あり(滝まで徒歩15分〜20分程度)